◆前立腺がん |
前立腺の外腺より発生するといわれています。前立腺肥大症は内腺由来であるのと対照的です。欧米では、男性のがんでの死因の上位に上げられ、日本でも食生活やライフスタイルの欧米化に伴い増加傾向にあるといわれています。現在は、PSA検査の普及に伴い早期で見つかるケースも多く、手術による根治も可能な時代になっています。手術以外でも、内分泌療法(男性ホルモンを抑えてがんの縮小を期待する)や放射線療法などが有効とされておりますが、いずれにせよ50歳以上になったら定期的な検診を受け早期発見に努めるのが重要です。 |
◆PSA (Prostate Specific Antigen) |
前立腺特異抗原とも呼ばれる前立腺がんの腫瘍マーカーです。4.0 ng/ml以下が正常値であり、4.01~10.0 ng/mlの値をグレーーゾーンといって前立腺がん以外に前立腺肥大症や前立腺炎などのひとが含まれます。10.01 ng/mlを超える値を示す場合、前立腺がんである可能性が高くなります。いずれにせよ、異常値を示す場合は、泌尿器科専門医による精密検査(前立腺生検など)を受けることをお勧めします。 |
◆尿道ステント留置 |
前立腺肥大症に対する低侵襲治療のひとつとして開発されたもので、金属製(ニッケルチタニウム製)の特殊なコイルを経尿道的に透視や内視鏡を用いて前立腺部尿道に留置します。留置後はすぐに排尿可能であり、手術が出来ないリスクの高い方にも安全に施行可能です。欠点として、異物であるため結石の付着や尿路感染を起こすことがあり、留置後も定期的な検診と一定期間(半年~1年)での交換が必要となります。当クリニックでは、メモカスというニッケルチタニウム製の形状記憶合金でできたステントを用いて、治療を行っております。外来でも施行可能ですが、通常は一泊入院でおこなっております。 |
◆経尿道的前立腺切除術 |
内視鏡的に肥大した前立腺組織を電気メスを用いて切除する術式で、世界中で最も広く行われている前立腺肥大症に対する手術の標準術式です。通常腰椎麻酔下で施行され、90分以内で終了します。手術後は、止血のため2~3日の間尿道カテーテルを留置しますが、カテーテル抜去後はスムーズな排尿が可能となり治療効果の確実性という点では、現在でも最も信頼できる治療法です。欠点として、出血や術後尿失禁といった合併症がみられることがありますが、現在は電気メスや切除用ループの進歩により合併症の出現頻度は低下しています。当クリニックでは、電解質溶液(生理食塩水)を灌流液に用いることが可能なOlympus社製TURis systemを用いており、従来の電気メスに比較して安定した切除効率と高い安全性を両立しています。、また、2台の大型モニターを用いて、手術の進捗状況を患者様にも術者と同じ画面でライブ映像をお見せしながら行っております。なお、当クリニックではこの手術を4泊5日(入院当日に手術)で行っております。 |