難治性過活動膀胱の患者様へ
ボツリヌス療法とは?
ボツリヌス療法とは、過活動膀胱、神経因性膀胱に対して通常の薬物療法では効果が期待できない場合の治療法で、膀胱の筋肉を緩める薬(A型ボツリヌストキシン)を膀胱壁に直接注射する治療です。
治療方法について
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過活動膀胱に伴う尿失禁は膀胱の筋肉が異常な収縮を起こすことで起こります。
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ボツリヌス療法に使用されるA型ボツリヌストキシンは筋肉の収縮を弱める作用があり、膀胱鏡(内視鏡)を用いて膀胱の筋肉に0.5 mlずつ20カ所に直接注射し過活動膀胱に伴う症状を改善します。
※突然起こる強い尿意、尿失禁、昼間、夜間の頻尿など
- 注射は10-20分程度で終了します。
- 膀胱鏡を用いて膀胱の筋肉に直接ボツリヌストキシンを注射します。
※ボツリヌス菌を注射する訳ではありませんのでボツリヌス菌に感染する心配はありません。
ボツリヌス療法の効果持続期間について
治療効果は施術後2~3日で現れ、過活動膀胱では4~8ヵ月、神経因性膀胱では8~11ヵ月持続します。時間が経つにつれて薬の効果が弱くなっていきますが、再投与すると同様の効果が現れます。
効果がなくなってきたら、あらためて治療が必要になる対症療法です。再投与の時期については医師にご相談下さい。
治療の注意点と副作用について
- 薬剤の効果が無くなれば再投与が必要になります。
- 3ケ月未満での再投与は出来ません。
- 投与が繰り返されると徐々に薬剤の効果が薄くなる可能性があります。
- 副作用として、排尿困難、残尿の増加、尿路感染症、血尿などの症状がみられることがあります。
※残尿の増加がみられる場合は自己導尿が必要になります。
- 抗凝固剤を使用されている場合は事前に中止をお願いする場合があります。
- 挙児希望の場合、施術後2回の生理が終了するまで避妊してください。
アレルギーの出現(発疹、吐き気、息苦しさ)、筋力の低下症状、痙攣等があればすぐに連絡してください。
治療の前に注意すべきこと
- 以下の条件に当てはまる方は、ボツリヌス療法を受けられません
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- 尿路感染にかかっている方
- 尿を出し切れない症状があるが、導尿を行っていない方
- 全身性の筋力低下を起こす病気(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症など)がある方
- 妊娠中あるいは授乳中の方、妊娠している可能性のある方
- この治療により、発疹などのアレルギーを生じることが分かっている方
- 自己導尿が必要になった場合に、導尿の実施に同意いただけない方
- 以下に当てはまる方は、ボツリヌス療法を受ける前に医師に申し出てください
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- ボツリヌス療法を受けた経験がある方
その時に治療した病気の名前、治療時期、投与量を分かる範囲で医師にお伝えください。
- 現在、何らかの薬を服用されている方(市販薬を含む)
一部の抗生物質や筋弛緩薬、精神安定剤など、ボツリヌス療法と同時に使用する場合には注意が必要なお薬がございます。
また、抗血小板薬、抗凝固薬を服用中の方は、注射による出血を防ぐ為、お薬の飲み方を調整する場合がございます。
- 慢性的な呼吸器の病気(喘息など)がある方